2023.06.29
コラム
市街化調整区域での「クリニック開業」隠れた問題点
市街化調整区域内での医院開業について、私が経験した具体例をお話したいと思います。
もう20年以上前ですが、ある先生が市街化調整区域にて開業しました。最寄りの駅からは徒歩25分。半径500m以内に戸建て住宅約300戸がありましたが、大規模住宅地までは車で5分以上かかります。
マンツーマン薬局の開発の立場でこの開業にかかわったのですが、当然ながら診療圏調査も良好でなく、正直患者が来るかどうか不安でした。
ところが、ふたを開けると開業当初から大盛況。広くとった駐車場も足りなくなり、隣地を確保して60台超体制にし、また待合室を増築するなど次々に対応に追われることとなりました。
15年以上経過したある日、その先生に呼ばれます。「今度、移転をすることになった」と。
1㎞先に広大な土地を購入し、新たに平屋の診療所兼住宅をたてるとのことでした、今度は市街化区域内です。
お話を聞いてみると、浄化槽の問題が大きかったようです。
一般に市街化調整区域では浄化槽の設置が義務付けられることが多いです。その先生も当初それなりの規模の浄化槽を設置したのですが、経年劣化と、予定した容量をオーバーし新たなものを設置することに対し、市当局からストップがかかったようで、頭を悩ませているところに、近隣に大きな土地が出て購入に至ったということでした。新診療所は下水道も完備されております。
移転前の土地・建物は売りにだしたものの、かなり買いたたかれたようです。
なにより、調整区域内では「用途」変更がままならないことが多いのです。
例えば、コンビニは多く調整区域内に建てられていますが、用途=コンビニで許可を取っているので、閉店しても事務所などに貸すことが基本難しいです。売買にせよ、賃貸借にせよ、後継の業種が限られてしまうのです。
なんといっても、土地の取得価額が低く、家賃を払わず初期投資が抑えられるということが市街化調整区域内開業の良いところですが、このように建築面等で見えにくい「制約」があるということは認識しておかなければなりません。
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